おもてなし電気通信 -vol.2-【エネルギー回収施設(立谷川)】

ごみから電気をつくり、地域へ還元

~サーマルリサイクルへの取り組み・立谷川~

おもてなし電気通信、第2回目は山形市立谷川にある「エネルギー回収施設(立谷川)」です。

 


山形市立谷川にあるエネルギー回収施設って?


山形市立谷川にあるエネルギー回収施設では山形市、上山市、山辺町、中山町から収集されたごみを燃やし、回収した熱からつくった蒸気の力で電気をつくっています。

山形広域環境事務組合が運営するこの施設は、平成29年10月から本稼働を始めており、その発電能力は3,100キロワット。一般家庭の約9,000世帯分に相当します。

ここでつくられた電気は施設内の機械の動力、照明や冷暖房などに使用され、余った電気の半分は小売電気事業者であるおもてなし山形が買い取り、エリア内の学校や公共施設に送っています。

まさに自給自足のごみ処理施設。

また、防災拠点として非常食などを備蓄して非常時に対応したり、被災した地域の人たちの避難場所としても活用できるように設計されています。

今回、山形広域環境事務組合から委託を受け、施設の維持・管理を担当する山形エコクリエイション(株)の林慶一さんに施設を案内していただきました。

山形エコクリエイション(株) 林慶一さん

「この施設は1年間のうちメンテナンスを行う1週間以外はずっと稼働し続けているんですよ。町にごみがあふれないよう適正に処理を行い、20年以上先までも安心、安全に運営を行うことを目指しています。社会の機能を維持するために欠かせない、環境へ貢献する重要な仕事です」と、林さん。


ごみから電気ができるまで


電気をつくる工程はごみの回収から始まります。

4市町から1日に集められる可燃ごみは100t~300t。1日で処理できるのは150tです。

2~3tのごみ収集車が次々とプラットホームにごみを搬入してきます。

20階建てのビルがすっぽりと入る規模のごみピットも約5日~10日で満杯になってしまうほど。

ごみピット

2tのごみを一度につかむUFOキャッチャーのようなクレーンで掴んだごみを破砕機にかけて細かくし、破砕されたごみはガス化炉へ。

ガス化炉内で可燃性ガス、炭化物、灰に分解され、溶融炉に送られます。

1200度を超える溶融炉では灰が溶かされ溶融スラグがつくられます。

溶融炉を通った高温の燃焼ガスを利用しボイラで水を蒸気に変え、蒸気タービンを回して発電します。

発電のための最新鋭機械が揃っているのもこちらの施設の大きな特長。

一連の作業に、未来のために私たち一人ひとりがごみを減らすことの大切さをあらためて考えさせられます。

中央制御室
クレーン操作

社会科見学で、楽しみながら学びを


施設には、山形市内の小学4年生の子どもたちが社会科見学に訪れます(見学の所要時間は1時間程度)。

社会科見学に訪れた小学生のみなさんからのお手紙

発電体験コーナーは、子どもたちに大人気!

20秒間の足踏みでどれだけ発電できるかを競争しながら大盛り上がり。

蒸気タービン発電機の発電能力は3,100キロワット。

例えば、足踏みで3ミリワットの数値が出たらその10億倍という計算になります。

「日本人が全員で同時に足踏みをしても勝てない。中国とインドの人口は10億人以上いるから、それなら勝てるかもしれないね」。具体的な林さんの説明に驚く子どもたち。

100インチ大画面での施設紹介デジタル図鑑

子どもたちにもごみや電気のこと、サーマルリサイクルに興味を持ってもらえるようにという仕掛けが施設内の随所に。

「給食での食べ残しなどでつくった電気が、教室の照明にも使われているんだよと、身近なことを例に取って伝えるようにしています。」

■施設は一部を除き、見学が可能です。
・施設見学時間:9:00~16:00(17:00終了)
・休業日:毎週土曜日、日曜日、祝日、1月1日~3日
・最小受付人数:15人
※見学の申し込みは、事前に下記まで連絡してください。
 山形エコクリエイション(株)TEL.023-674-8510


地域に開かれた施設


地域のみなさんの活動も応援しています。展示スペースには、地元の書道サークルやカメラ愛好家の作品が飾られていました。

また、近くの小学校の学童クラブに出向き、LEDでランタンをつくったり、クラフト教室も実施しています。

クラフト教室チラシ

エネルギー回収施設は、分別したごみを資源としてスラグに変え、アスファルトの材料などに有効活用するマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの両輪で環境負荷の軽減に取り組む、地域に貢献する施設です。

≫エネルギー回収施設(立谷川)HPはこちら(http://yamagata-eco.co.jp/)

 (2024.8取材 ライター 佐藤昌子)

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